足元ずっと見ていれば 躓くことなんてないだろう 景色を見ない人生は幸せなのかな 2020/11/24

「足元ずっと見ていれば 躓くことなんてないだろう 景色を見ない人生は幸せなのかな」

今絶好調のアイドル、日向坂46のけやき坂46時代の楽曲、「期待していない自分」の一節だ。初めて聞いたときからこの歌詞はなぜか強烈に頭に残っていた、その理由が最近分かった気がする。

それはこの国に蔓延する、リスクを忌避し失敗を悪、恥とする風潮への強烈な違和感だ。特にこのコロナ禍においてその傾向は浮彫になったのではないだろうか。高齢者を除けば重症化する可能性はかなり低いと判明してきたこのウイルスに対して、明らかに過剰な反応。個人的には感染対策は個々人がすればいいだけのことで、政府は経済を元に戻すことのみに力を注いでほしいと思っている。まあここでは政策についての深入りは避けよう。

私のある親しい人間は、親から何をするにも制限がつけられすぎて、親にお伺いをたてないと何もできない人間になっている。20をこえて自分のリスクすら背負えなくなってしまっている。ダイジョウブカオマエ。

日本人は(外国人との対比ではない。私が知り得る範囲で、という意味での「日本人」。)堅実な人生が賞賛されるあまり、悪く言えばくそつまらん人生を送っている人間が多い気がする。リスクとリターンのバランス感覚がばぐってしまっているのだ。

しかしかくいう私もその同調圧力の軍門に下ったうちのひとりである。高校入試や大学入試では万が一の可能性を避けて安全に出願、高校の部活選びではレギュラー争いを避けそれまで5年以上続けていた競技を諦めた。極め付きは就職活動、虚構とまではいかなくても本心とは言い難い就活の軸をでっち上げ、先細り業界の大手に下位で内定。下位というのはもちろんそう言われるわけではないが同期を見ればだいたいわかってしまうものである。就活が終わった夏休みになって自分の本当にやりたい仕事に気付いた。

躓かないように足元をずっと見てきた人生、20代でビジネスマンとしての人生の大まかな方向が決まるとすれば、顔を上げて景色を見るにはそう長く日が残されているわけではないだろう。

魅力=成功+失敗×2